プロフィール
- 有限会社やまぎん 代表取締役 西川 明秀さん(左)
- RX Japan株式会社 第四事業本部 田栗 匠一郎(右)
服地開発や販売、アパレル製品の企画を手掛ける有限会社やまぎん。持続可能なサーキュラーエコノミーの実現を目指して、さまざまなサステナブルプロジェクトを手掛けています。そんな新たな取り組みの発表とともにあったのが、RX Japanが主催する展示会「サステナブル ファッションEXPO」です。今回は、代表取締役社長の西川さんに、出展を決めたときのねらいやブースづくりで大切にしていること、さらに今後の展望についてうかがいました。
会社情報
新製品発表の場に選んだ、展示会。
真のターゲットは出展企業だった
西川さん 当社は、サステナブル素材の開発を得意とするテキスタイル開発メーカーです。2021年には、優れた耐久撥水性を持つサステナブルな生地「ZERO-TEX(R)」をローンチ、2022年には、衣料廃棄品を水素化するプロジェクト「BIOTECH WORKS-H2」を打ち出しました。新たな製品やプロジェクトの発表に際し、どうやったら注目を集められるか。そこで目をつけたのが、展示会です。
人が多く集まる場所で、自分たちのメッセージを大々的に打ち出せるという良さももちろんありますが、それだけではありません。最大の魅力は、他の出展企業と出会えること。出展企業こそが、私たちにとっては真のターゲットだったのです。展示会って、来場者だけがお客さまだと思っている方も多いかもしれませんが、本当にそうでしょうか。来場者は当日まで誰が来るかわかりませんが、出展企業は過去の傾向から予測できるもの。来場者だけでなく、出展企業をもターゲットにして、攻めの姿勢で取り組むことで、さらなる成果を出せると考えたのです。
出展に際して、特に重視したのは、ブースの位置です。一般的に出入口付近や大きな通路沿いを希望される企業さんが多いかと思いますが、私たちが希望していたのは、今後お取引が見込めそうな出展企業のブース近辺。エントリーしたタイミングにもよりますが、私たちにとって納得できる位置を獲得できたため、出展を決めました。
もっとわかりやすく、もっとおもしろく!
目を引く仕掛けで人が集まるブースに
西川さん 初めてのブースづくりで目指したのは、会場内でいちばん目立つこと。ただ、歩いている来場者の目に入るのは0.5秒くらいだし、少し興味を持ってもらえたとしても3秒です。立ち止まって見続けてもらうことを前提にしてはいけません。では、どうやったら少しでも見てもらえるのか。ついつい目で追ってしまうような「動き」を取り入れる必要があると考えました。
そこで初出展時には、ブースの入り口に200インチの縦型モニターを設置し、アップテンポの音楽とともに、40秒のショート動画を繰り返し上映。さらにモニター下には、製品の最大の特長である“撥水性”を訴求する什器を置き、自然な視点誘導で製品の強みを知っていただけるように工夫しました。
そんな初出展の経験から、「もっと目立つことをしたい!」という思いが強まり、翌年にはブース内に滝をつくろうと思って(笑)。撥水機能をパッと見で訴求するために、水が流れ続ける大きな装置をつくったこともありましたね。
また、2022年からは、衣料廃棄品を水素化し再生可能エネルギーをつくり出すプロジェクト「BIOTECH WORKS-H2」としても出展をスタートしました。説明が必要なプロジェクトだからこそ、今まで以上に目を引かなければと考え、水素自動車をフルラッピングして展示。アパレルの展示会にどうして車が…?とインパクトも大きかったようで、多くの来場者から声をかけていただきました。しかも、これを機に自動車業界のお客さまともつながることができたのは大きな収穫でした。
そして、初出展から4年目となる直近の展示では、小間数も大幅に拡大。1時間に2回の説明会を実施したり、ブース内で新プロジェクトのスタートを祝して鏡開きをやってみたり、ドリンクバーを設置したりと、ブースの広さを最大限に活かしながら、さらなる集客に注力しました。
このように、さまざまな試行錯誤を繰り返してきた私たちですが、常に意識しているのは、来場者に「おもしろそう!」と思ってもらえるブースづくりです。やっぱり、どれだけ素晴らしい製品も、知ってもらわないと買ってはもらえないですから。私たちを含めBtoB企業は特に専門的な話をしたくなるものですが、BtoB企業こそ、もっとわかりやすく、もっとおもしろく、来場者にアピールすべきなんです。「来場者の目を引くにはどうすべきか?」「もっとおもしろい見せ方はできないか?」と、出展のたびに頭をひねり、戦略的に準備をすることが、成果のためには欠かせないと考えています。
すべては、見込み顧客を増やすために
一緒になって展示会を盛り上げていく
西川さん 展示会の成果というと、多くの方は新規顧客数や受注金額をイメージされるかもしれませんが、私たちはそうではありません。なぜなら私たちが考える展示会の目的は、見込み顧客を増やすことであり、ブランディングだからです。そこで、ブースに訪れてくださったお客さまの人数をひとつの指標にしているのですが、直近の展示会では会場全体で約23,000名の来場者数のうち、約5,300名が当社のブースを訪れてくださるという結果になりました。
ただ、これだけの人数を対応できるのも、展示会の目的を“受注”にしていないからだと思います。受注が目的だと来場者一人ひとりと商談をしたくなってしまうものですが、展示会だけで受注につながることってあんまりなくて。後日アポイントを取るのであれば、多くの来場者と出会える貴重な機会である展示会ではあえて商談はせず、集客に振り切るのもひとつの戦略だと思っています。
さらに、なんといっても展示会は、自社をPRする絶好の機会。「また同じことをやっているな」と思われたらダメなんです。どんどん新しいことに挑戦して、見る人をワクワクさせることが、私たちベンチャー企業にとっては欠かせません。実際に、そんなスタンスをおもしろがってくださったお客さまとご縁もでき、新たな機能性製品に私たちの商材を採用いただくことにもつながりました。
そんな私たちが感じているのは、展示会そのものをもっと盛り上げていく必要性です。RX Japanさんの展示会は非常に来場者数も多いですが、きっともっと増やせると思うんですよね。そのためには、展示会全体の一体感をもっと高めなくてはならないし、集客のためのコンテンツも必要です。
そこで、直近の展示会ではRX Japanさんと共同で、著名人とのトークショーを開催しました。もちろん、自社ブースへの集客が最大の狙いですが、展示会そのものへの来場者数が増えることで、みんなにメリットがあると思ったんです。だって、やっぱりそれだけ人を集められる展示会って、すごいと思うんですよ。アパレル業界だと、各ブランドの個展が根強く、展示会はあまり浸透していないのですが、20,000人以上も集まる場ってほかにないですから。活用しない手はないんですよね。だからこそ、私たちにとってRX Japanさんは、いわば相互関係のような存在。ほかの出展企業も巻き込みながら一緒に展示会を盛り上げていくことで、Win-Winの関係を築いていきたいと思います!
RX Japan株式会社 第四事業本部 田栗 匠一郎
企業ブランディングにも直結する、展示会のブースづくり。会場によってルールはありますが、そのなかで最善策を考え、サポートするのも私の役目だと思っています。出展企業さまが表現したいことを最大限実現できるように、そして、出展企業さま・来場者さまにとってさらなるメリットがあるように、今後も、展示会の価値向上に取り組んでいきます!
ゼロからはじめる
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