2024.10.23
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【展示会とは】種類と適切な選び方、メリットや成功のコツを解説

展示会のノウハウ

この記事でわかること

  • 展示会の種類と役割
  • 展示会に出展するメリット
  • 自社の出展を成功させる方法

全国で大小さまざまな展示会が開催されています。インターネットやECが発展しても、実際に製品にさわり、直接話を聞いてビジネスを判断したいというニーズは衰えていません。

コロナ禍を経たことにより、リアルな場での商談や情報交換の価値がさらに高まったともいえるでしょう。

本記事では、展示会の種類による役割の違いや、展示会出展によるメリット、さらに展示会出展を成功させるコツを紹介します。

展示会の目的

まず展示会に関わるさまざまな立場、ステークホルダーについての位置づけや役割を紹介します。

出展企業

ブースを構える出展企業にとっては、自社のビジネス拡大が最終的なゴールになります。

ただし、出展から得たい成果は、以下に挙げるように企業によってさまざまです。

  • 直接的な売上獲得
  • リード獲得
  • 新製品やブランド、社名などの認知向上
  • 製品・サービスに関するフィードバック

競合企業も多数参加する場なので、自社の存在感を向上または維持することを目的とする企業もあります。出展する目的によって展示形態やブースの規模が異なります。

来場者

製品の仕入れや取引先の開拓などを目的とする来場者は、熱心にさまざまな展示会へ参加します。

展示会は業界の新製品や最新技術が集結する場です。直接の取引、受発注まで至らなくても、業界の情報収集、視察を目的とした来場者も多くいます。

ほかには、来場して展示会の中身を確かめて次回から出展社に回るというのも、よく見られるケースです。Webや資料でチェックするより展示会場内に実際に足を運んだ方が、来場者の数や質、出展企業の顔ぶれなどを肌で感じやすいためです。

展示会場や地元自治体

大規模な展示会を開催すると、宿泊や交通、飲食などといった大きな経済効果があります。

海外では大規模な展示会の誘致合戦が行われるほどで、アメリカのラスベガスといえばカジノが有名ですが、実は巨大な展示会が数多く開催される都市です。展示会の経済効果がカジノを上回るということは、よく知られています。展示会場のほか、会場を運営する自治体が注力することも多くあり、国際的な展示会はインバウンドの増加にも貢献しています。

主催者および展示会協力会社

展示会を企画し1年かけて準備を行う主催者のほか、数百以上のブースを作り上げる装飾会社、電気工事会社、運送会社、会場運営のマンパワーなど、さまざまな会社によって展示会がつくられています。

当日の会場づくりだけでなく、当日までの準備段階から考えると、たった数日の展示会でも関わる人は数千人、数万人にも及ぶでしょう。

展示会の5つのタイプ

展示会は、規模や目的によって細かくタイプ分けできます。一般的な5タイプの展示会を紹介します。

展示会タイプ規模出展社の目的来場対象
大規模ビジネスショーリード獲得
新製品の発表
ビジネスマッチング
情報交換
展示会にマッチした企業や団体
流通関係者(卸・小売)
パブリックショー製品やサービスのPR
ブランド認知度の向上
一般消費者
展示即売会小~大出展製品の直接販売一般消費者
卸売業者
小売業者
プライベートショー新製品の発表
意見交換
関係強化
既存顧客
流通関係者
潜在顧客
オンライン展示会小~大リード獲得
オンライン商談
一般消費者
企業・団体

大規模ビジネスショー

東京ビックサイト、幕張メッセなど大規模なコンベンションホールで、BtoBでの商談やリード獲得を目的として開催される展示会です。

「展示会」と聞くと、最も多くの人がイメージするのがビジネス型のイベントかもしれません。

IT、製造業、雑貨、食品、建設…など 特定の業界に関連する企業や団体が出展し、主に業界関係者が来場対象になります。

新製品の発表、ビジネスマッチング、情報交換が行われる場です。明確に製品・サービスの導入を目的としている来場者も多く、会場内で頻繁に発注や新規の取引が行われます。

パブリックショー

一般消費者を対象とした展示会で、不特定多数の来場者を多く集めるタイプです。

ゲーム、アニメ、車・バイクなど娯楽性が高く、体験型の展示が多いことが特徴です。BtoBのビジネスショーと比べると、装飾や演出もエンターテインメント要素が強い傾向があります。

出展メーカーが自社の製品やサービスを消費者に直接PRし、ブランド認知度の向上につなげたい場合に適しています。

展示即売会

会場で、出展製品を直接販売するのが目的のタイプです。

BtoCの場合もあれば、卸売業者や小売業者を対象としたBtoBの場合もあります。出展製品は、雑貨や消費財など比較的単価が低いものが多いです。

出展する側は製品の展示とともに、販売を同時に行えるため、すぐにマネタイズできるのがメリットです。

プライベートショー

企業が単独で開催し、自社の招待者のみを参加させる非公開のタイプです。自社だけで一定の集客力のある大企業が、既存顧客や流通関係者とのタッチポイントをつくるために実施するほか、潜在顧客も招待の対象となります。

新製品の発表や意見交換、関係強化などが主な目的です。集客力と予算が豊富な大企業、その業界のリーディングカンパニーが実施することが多いといえます。

単独でホールを貸し切るなど、招待活動にも予算がかかります。自社で集客できる範囲でのみ、新規顧客の獲得にもつなげられる可能性があります。

オンライン展示会

インターネット上で開催される展示会タイプです。通信環境の向上とコロナ禍で密を避けたいという風潮から一気に浸透しました。

バーチャル空間に仮想ブースを設置し、動画、画像、資料を用いて製品やサービスを紹介します。チャットやビデオ通話などで来場者と出展社がコミュニケーションをとるため、時間と場所の制約を受けないのが魅力です。

今後はメタバース技術などの発展により、ユーザー体験をリアルの展示会にどれほど近づけられるかが発展のカギとなるでしょう。

開催規模と展示会の通称

展示会の名称はさまざまです。一般的な傾向として「EXPO」「見本市」などは大規模な展示会に使われます。

以下、名称ごとの規模や特徴をまとめました。

呼び名規模一般的な傾向
ミートアップ特定のテーマや関心を共有する人々が集まる。インフォーマルな場でネットワーキングが主な目的。スタートアップミートアップ、マーケターズミートアップ
フェア小~大特定の製品やサービスに特化した販売会を表すケースが多い。一般消費者が主な対象となる。アートフェア、ワインフェア
ショー小~大エンターテインメント性が高く、一般開放される場合も多い。モーターショー、ゲームショー
トレードショー中~大業界関係者を対象とした展示会。新製品発表や情報交換が主な目的。インテリアトレードショー
見本市中~大業界関係者に加えて一般消費者も対象とした展示・販売会。製品やサービスのPRが行われる。インテリア見本市
国際工作機械見本市
コンベンション学術団体や業界団体が主催する総会・学会。情報共有や議論が中心である。鉄道模型コンベンション、デザインコンベンション
EXPO複数の業界や分野が集まる総合的な展示会。商談、情報発信、ブランディングなど目的は多岐にわたる。雑貨EXPO、情報セキュリティEXPO
カンファレンス中~大特定のテーマについて議論や情報共有を行う会議。教育や啓発を目的に行われることが多い。再生エネルギーカンファレンス、グローバルカンファレンス

展示会出展で得られる6つのメリット

展示会に出展することで得られる代表的なメリットを紹介します。

認知度の向上

多くの来場者に自社の製品やサービスをアピールすれば、業界内で認知されている割合を高められます。

ブースの設計や展示内容を工夫すると、ブランドイメージを効果的に伝えることができ、認知度アップにつながります。展示会を活用して新製品を大々的にお披露目することを継続的に行っている企業も少なくありません。

競合他社や業界大手に引けを取らない大きさのブースで出展すると、業界内での存在感もアピールできます。

潜在客との出会い

展示会には同じ業種または職種のうち、潜在的な顧客が多数来場します。自社の製品やサービスに興味を持つ来場者との直接の対話を通じて規顧客を獲得する、絶好のチャンスといえるでしょう。

潜在客は、自分の課題や興味に気づいていない場合もあるため、出展社からの積極的な提案が重要になります。

仮に展示会中に興味を持たれなかったとしても、接点さえつくれれば、長期的に興味を醸成していける可能性があります。

業界内でのネットワーキング

展示会は「業界の縮図」とも呼ばれるように、業界の重要人物や関係者が多く集まります。

来場者との対話だけでなく、出展社同士の交流や情報交換を通じて、業界内でのネットワーク強化につながります。

同業他社から得た情報から、思わぬビジネスヒントが見つかるケースも珍しくありません。異なる製品を扱っている企業同士なら協業も可能です。また、業界における大手流通業者などと出会う絶好の場といえます。

ユーザーの生の声を聞く

新製品などについて来場者からフィードバックを直接得られます。

新製品やサービスに対する反応を確認し、改善点を見出すと、今後の製品開発や販売戦略に役立てられるのは間違いないでしょう。生の声をより多く集めるために、ブース内で体験会を実施しアンケートを集める企業も少なくありません。

ただし、ユーザーの声を最大限に活用するために、どのような情報を収集するかは事前に検討しておく必要があります。

メディアでの露出強化

展示会には、業界の専門メディアや一般的なマスコミ・報道関係者も来場します。出展により取材してもらいやすい状況をつくることができ、高い宣伝効果を期待できます。

開催期間中のテレビやネットニュースなどに取り上げられれば、認知度アップも狙えるうえに、ブース訪問客も増えるでしょう。

また、新製品の発表などであれば、プレスリリースを配信するのも、メディア掲載を促せるのでおすすめです。

直接的な販売機会をつくる

会場での即売が認められている展示会もあります。単にそこでの売上アップが図れるだけでなく、その後の商談、受注を狙える点もメリットです。

展示会はPRだけでなく直接的な販売機会としても有効です。展示会を利用して単発の売上はもちろん長期的な契約をも狙えるのです。

製品の魅力をいかに来場者に伝え、その後の売上につなげていけるかは、どのような形式の展示会であっても重要なポイントになります。

展示会への出展を成功させるコツ

展示会に出展するからには、自社の利益となるような成果を出す必要があります。以下、展示会への出展を成功させる7つのコツを紹介します。

1. 目標を明確に定める

新規顧客開拓、ブランディング、受注拡大など目的をひとつに定めて、達成目標を数値化しましょう。計画が当初の方針からずれないよう、はじめに目的や目標を決めるのは非常に重要です。

目標値としては、主に以下が挙げられます。

  • 商談件数
  • リード件数(=名刺交換数)
  • 商談金額
  • アンケート回収数

リード件数や商談件数については、純粋な新規獲得数ではなく、さらに細かくランク分けをした有効数(=温度感が高いリードや商談)を設定すると、より成果につながりやすくなります。

どの数値を重視するかは、あらかじめ社内で合意をとっておきましょう。

2. ターゲットに合わせた出展コンセプトを練る

製品やサービスの魅力を視覚的に訴求するような展示レイアウトを考えてください。また、どこに何を配置するかは、当日の接客の流れや導線も考慮しましょう。

加えて、ターゲット層の関心・嗜好やブランドイメージを踏まえたブースデザインにします。効果的なデザインにより、自社のブランディング強化や他社との差別化が図れます。

3. 事前の告知による誘致強化

展示会では主催者が集客するものと思われがちですが、自社による宣言や集客に関する活動は欠かせません。事前の集客活動をいかに行うかでブースの集客数は大きく変わります。

保有しているリードに対して出展情報を発信し、来場を呼びかけましょう。WebやSNS、DMやニュースリリース、既存顧客への挨拶まわりなど、できる広報手段はすべて使うことが基本です。

自社の製品・サービスに関心を持つ来場者をブースに案内する際、商談につなげやすくするために、事前にアポイントをとっておくのが重要です。

4. オペレーションの構築

来場者との商談や応対の流れをマニュアル化しておくと、当日のオペレーションがスムーズになります。

活気あるブースにするために、全スタッフのモチベーションアップを心がけましょう。事前に製品知識やコミュニケーションスキルの研修を行うと、接客レベルはもちろんスタッフ全体の士気も高められます。

5. 多くの来場者とのコミュニケーションを図る

来場者に積極的に声をかけ、対話を図りましょう。来場者とのコミュニケーション手段にはさまざまなパターンがあります。

  • インタビュー調査により、ニーズや課題のヒアリングをする
  • デモンストレーションやサンプル配布で、製品・サービスの魅力を伝える
  • アポイントのある客とはより深い商談を行う

出展の目的や来場者の温度感によって、適切なアプローチ方法をとってください。

6. 会期中の情報収集と分析

日ごとに来場者の来訪数や反応、来場者アンケートの内容をチェックします。他社ブースで状況をヒアリングするのも有効です。

商談内容や名刺交換情報をできるだけすぐデータベース化し、営業活動への活用を開始します。反応やアンケート内容から、来場者の温度感をランク分け、熱量が高い来場者は優先的にフォローすると効率的です。

営業チームへの連携方法は事前に構築しておきましょう。

7. 出展後のフォローアップと評価

来場者に、お礼のメールやDMを送付します。見積もり依頼や資料請求には、迅速かつ丁寧に対応するのが鉄則です。

さらに、出展の成果を数値化し、目標達成度を評価します。商談金額など、成果が出るまでに時間がかかる指標は、定期的に数値を確認しましょう。

改善点を洗い出し、次回の出展に向けたPDCAサイクルを回すのが重要です。

まとめ

展示会は自社のプレゼンスを高める絶好の機会です。PRだけでなく、受注や販売といった実利につなげられる点も、展示会ならではの魅力になります。
自社に適した展示会を選び、徹底した準備を実行すると、より大きな売上成果につなげられるでしょう。

監修者プロフィール

RX Japan 株式会社 第四事業本部 斎藤 広顕

2004年入社。花と宝石の展示会の国内営業担当として従事。2007年にガーデンEXPO(GARDEX)、2011年に農業WEEK、2017年に“日本の食品”輸出EXPOを発案し、立ち上げを担当。2022年にこれらの展示会の事務局長に着任し、発展に尽力中。また、DX Expertとして、社内横断の 「広告商品の強化プロジェクト」の責任者を兼任。

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