2024.10.24
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展示会のブースデザインはどうする?集客につながる3つのポイント

展示会の準備

展示会にブース出展することで、自社の認知度向上、リード獲得などさまざまなメリットが見込めます。しかし、出展すれば自然とそうしたメリットを享受できるわけではなく、入念な準備や計画、工夫が必要です。
目的達成につながるブースを作るためには、いくつか意識すべきポイントがあります。デザイン・レイアウトやスケジュールの例とともに解説します。

展示会のブースのデザイン・レイアウトが重要な理由

「展示会に出展さえすれば、たくさんの人が立ち寄ってくれるだろう」と考えている企業の方もいるかもしれません。しかし、現実はそんなに単純ではありません。

ブース出展は、以下のような目的を達成するために行います。

  • ブースで見込み顧客の目を引いてリードを獲得する
  • 自社の製品やサービスの認知度を上げる
  • 興味を持って来て(来場して)くれた人々とコミュニケーションをとる

これらの内容は、ただブースを構えるだけでは達成できません。自社や製品・サービスの魅力が伝わらなければ、そもそもブースに来てもらうことも叶わないのです。そのため、ブースデザインも展示会への出展によって何を得たいのか、ということから逆算して考える必要があります。

出展にかかる費用に対して得られる効果を最大限に高めるためにも、ブースのデザイン・レイアウトは重視しましょう。

目的達成につながるブースデザイン・レイアウトのポイント

ブースデザイン・レイアウトを考える際は、以下の3点を意識することが重要です。

  1. 展示会のタイプに合っている
  2. 獲得したい顧客層に合っている
  3. 出展するブースの広さに合っている

ブース出展経験が少ない場合、ブースを完成させることだけに意識が向きがちです。こうした点も踏まえて、出展の意義を感じられるブース作りに取り組んでください。

1.展示会のタイプに合っている

展示会のタイプと自社のブースのデザイン・レイアウトが合っていなければ、そもそも集客もままならず、出展の効果が見込めません。

「展示会」と一言でいっても、来場者とじっくり話すことを目的とした商談会、不特定多数の人に自社の製品を見せるショーのようなものなどに分けられます。

「商談目的の展示会にもかかわらず、座って話すことが難しいレイアウトになっている」といったことにならないよう、出展する展示会ではどのようなブースが求められるのかを正確に把握しましょう。

2.獲得したい顧客層に合っている

ターゲット層に受け入れられやすいデザイン・レイアウトであることも重要です。

ハイエンドな製品を訴求するならラグジュアリーな雰囲気、ファミリー向けに親しみのある製品を訴求するなら温かみのある雰囲気にするなど、獲得したいターゲット層が求める雰囲気を意識しましょう。

ただし、派手で目立つほどよいわけでもないため、バランスを意識した設計が重要です。

3.出展するブースの広さに合っている

自社のブースの広さは、最大限生かしましょう。ブースが広いにもかかわらず、展示物がブース中央に集まっていると、製品の魅力が伝わりづらくなります。同様に、コンパクトなスペースに情報を詰め込みすぎるのもよくありません。

これから出展を申込む場合、まず最優先で展示したい製品を決め、そこからブースの広さを検討するのが賢明な方法です。すでに広さが決まっている場合は、ブース内にほどよい余白が作れるように調整しましょう。

【タイプ別】展示会のブースのデザイン・レイアウト例

展示会には大きく分けて、以下の4種類があります。

  • 商談会型
  • 体験型
  • セミナー型
  • 製品展示型

タイプ別のデザイン・レイアウト例を、実例を交えて解説します。

商談会型:立ち寄りやすく話しやすい雰囲気をつくる

商談重視の展示会では、より詳細な情報を持ち帰りたい来場者が多い傾向にあります。そのため、自社のスタッフとじっくり話せる、もしくは「ぜひ話を聞いてみたい」と来場者に思われるようなブースのレイアウトが必須です。

まず自社の社名やサービス名を目立たせましょう。そして、机と椅子のセットを複数配置し、座って話せる商談スペースを設けてください。立ち話で済ませる場合と比べると、真剣な対話ができます。

ただし、スタッフを過度に配置したり、商談スペースしかないように見えたりすると、かえって来場者から敬遠されることもあります。展示スペースと、ほどよい開放感を確保することも意識しましょう。

開放的な商談スペースが外部から見えることを嫌がる来場者もいるので、個室のような空間を作ることもおすすめです。

テーブル、展示エリア、ストックヤードを備えた展示会のブース デザイン レイアウト。

ポイント

  • 椅子とテーブルを目立つところに配置
  • 商談席は複数セット設置する
  • クローズドな空間の併設も検討する


体験型:目を引く演出や掲示を取り入れる

製品やサービスに触れてもらえるブースにする場合は、来場者に「面白そう」「やってみたい」と思ってもらい、より多くの人々に体験をしてもらうことが重要です。

ブースは開放面を多くし、周囲から体験の様子がよく見えるようにするとよいでしょう。大きなモニターに体験の様子を映したり、照明やスピーカー、音楽などを活用して、にぎやかな雰囲気を演出するのもおすすめです。

可能であれば、のぼりや立て看板なども活用しましょう。「体験実施中」「体験できます」などの掲示をすることで、さらに集客しやすくなります。

ただし、展示会や会場によっては、のぼりの設置や、大きな音や煙、照明の使用が制限されているケースもあります。出展する展示会の規則に目を通し、どういったものが使えるかを細かく確認することも大切です。

テーブル、椅子、展示台、体験エリア、保管ヤードを備えた展示ブースのレイアウト。

ポイント

  • 通路から最も目立つ位置を体験スペースにする
  • 体験後にすかさず商談スペースや展示台へ誘導
  • 通路に来場者がはみ出さないように配慮する


セミナー型:来場者の目線を意識する

来場者向けに講演などを行うタイプのブースで、ステージやモニター、プロジェクターなどを設置すると効果的です。

ブースが広い場合は、モニターを複数置いてどこからでも投影されている内容が見えるようにするなど、来場者が快適に参加できる環境を整えてください。また、セミナーを聞いていない人向けに、紹介する製品やサービスについてわかるパネル展示も必須です。

ただし、いくらセミナーが中心でも、ステージやモニターだけでブースが埋まるようでは、セミナーに関心のない来場者を逃してしまうことになります。製品の展示スペースも確保しましょう。このとき、展示製品を見たい人がセミナー参加者の前を横切らなくても済むよう、各スペースの配置には注意を払いましょう。

座席、展示テーブル、ストックヤード、モニターを備えたセミナー形式の展示ブースのレイアウト図。

ポイント

  • 通路から立ち寄りやすい場所をセミナースペースにする
  • セミナー終了後に商談スペースや展示台へ誘導する
  • 通路に来場者がはみ出さないように配慮する


製品展示型:あらゆる装飾で製品をアピール

製品がメインではあるものの、ただ単に製品を並べるだけでは目立たないブースになりがちです。多量の製品を並べすぎても、かえって印象が薄くなってしまう場合もあります。

訴求したい順に1~2種類の製品に絞るとよいでしょう。そのうえで並べ方に変化を付ける、照明や香りなどを活用するといった個性的な演出をして、製品の魅力が最大限に伝わるように意識してください。

一方で、来場者が足を止める確率を高めるために少しでも多くの種類の製品を展示するという考え方もあります。自社にはどのようなアピールが合うか考えてみるとよいでしょう。

展示会のブース設計レイアウトのフロアプラン。テーブルと椅子、各種展示スタンド、保管エリア、通路が示されています。

ポイント

  • 製品を通路に面した展示台に設置
  • ブース中央部に目玉の展示を行い誘引する
  • 製品の展示が中心でも商談スペースを確保する

展示会にブース出展する場合のスケジュール例

展示会出展の準備には、予想以上に時間がかかるケースもあります。なるべくゆとりを持ったスケジュールで、少しずつ進めましょう。

会期の6カ月~1年前|出展の目的を定めて申込む

出展したい展示会を決め、申込みや必要書類の提出などを進めましょう。ただし、「何となく」「参加者が多そう」といった理由で出展を決めるのはおすすめしません。必ず、自社が出展する目的に合うものを選んで、申込んでください。

申込みが完了した段階で、今後の準備から会期終了後までのスケジュール案も設定しておくと、以降の工程もスムーズに進みます。

会期の3カ月前|ブースのデザイン・レイアウトを考える

展示会のタイプや出展の目的に応じたブースデザイン・レイアウトのアイデアを出しはじめます。展示する製品やサービスなどが魅力的に見えるよう、2~3案出して検討を進めるとよいでしょう。

アイデア出しに着手する前に、そもそもデザイン・レイアウトをすべて自社で行うのか、専門会社に依頼するのかも早めに判断しておきましょう。外部の専門会社に依頼する場合、この段階以降での依頼が難しくなるケースもあります。

会期の1~2カ月前|資料や案内状の作成、ブースデザインの確定

会期が近づいてきたら、以下の対応を進めましょう。

  • 当日に使う資料の作成
  • 告知に使う案内状の作成・送付
  • ブースデザインや展示する製品・装飾の配置確定

資料や案内状の作成は一見簡単な作業ですが、どちらも内容のチェックや印刷、発送などである程度の期間が必要になります。一から作ろうとせず、社内の資料やテンプレートを活用して効率化するのも手です。

ブースの制作や施工を外注する場合や、備品・什器をレンタルする場合も、この段階で手配しておきましょう。

会期の1カ月前|スタッフを決めて移動手段や宿泊場所を確定

ここからは、会期当日の円滑な運営に向けての調整が多くなります。以下の3点を、なるべく早めに進めましょう。

  • 参加するスタッフの決定
  • スタッフの移動手段や宿泊先の手配
  • 製品や什器・装飾の運搬方法の確定

特に展示会の規模が大きい、あるいは付近でコンサートなどのイベントが開催される場合は、ホテルの予約が取りづらくなります。参加するスタッフの数が決まったら、すぐに手配するとよいでしょう。

また、展示に使う什器や装飾の運搬方法についても検討を進めてください。レンタカーを借りる、専門業者に依頼するなどの選択肢から、量や予算を踏まえて選びましょう。

会期の1週間前~前日|当日に向けての最終チェック

これまで進めてきた準備の内容を最終確認し、会期当日に備えます。

  • 展示内容の最終確認
  • 会場設営
  • 運営のリハーサル
  • 足りない装飾の追加発注

来場者への対応や案内の仕方、資料やサンプルの配布方法など、いくつかのシチュエーションを想定してリハーサルを行います。

展示する製品や装飾が、すべてそろっているかも改めて確認しましょう。もし発注したはずの装飾が足りなければ、早急に手配しなければなりません。

会期終了後|報告書作成と参加者フォロー

展示会が終了した後は、社内向けの報告書を作成します。特に、以下のような点に触れてまとめると、今後また展示会に出展する際も大いに役立つでしょう。

  • 自社ブースへの来場者数やもらった名刺の数
  • 出展にかかった費用
  • 出展の費用対効果
  • 課題だと感じたこと

また、来場者へのフォローも忘れないでください。展示会終了から時間が経つほど、来場者の記憶も薄れます。できれば展示会当日、遅くとも展示会終了から2営業日後までには、お礼のメールや商談の案内などを送りましょう。

展示会のブースに関するQ&A

最後にブース出展を検討している企業の方からよく寄せられる質問と、その回答を紹介します。

展示会のブース出展にかかる費用はいくら?

ブースの広さや装飾の内容にもよりますが、一般的に30~200万円程度の費用がかかるといわれます。

ただし、これはあくまでもブース出展に必要な装飾の制作費用のみの目安です。別途、出展料や展示品の運搬代、運営スタッフの宿泊費用なども必要です。

もしコストを抑えたい場合は、ブースの装飾をシンプルにする、自社の什器で使えるものは使うなどの工夫をするとよいでしょう。

ブース設営にはどれくらい時間がかかる?

こちらもブースの広さや装飾の内容によって変わりますが、目安として1.5日~2.5日ほどを想定してください。

前提として、ブース設営は、「展示スペースや建物を作るフェーズ」と、「展示物を並べるフェーズ」の2つに分けて考えましょう。展示スペースや建物のセットアップには1~2日程度、展示品や装飾は半日程度かける傾向が見られます。

なお、何らかのトラブルで設営がスムーズに進まないことも想定されます。ゆとりあるスケジュールを組んで、有事の際も問題なくブース設営ができる体制を整えましょう。

ブースのデザインやレイアウトは自社だけでもできる?

コスト削減策として、ブース設計や準備を自社の社員だけで行う方法もあります。

ただし、ブース出展で失敗すると、思うような費用対効果が出ないうえ、企業イメージが低下するリスクもあります。不必要に自社の評判を落とさないために、デザイン・レイアウト面はプロに依頼するのもおすすめです。

また、展示会の主催者の中には最低限の仕切りや照明、展示台などがセットになったパッケージを用意しているところもあるため、一度確認してみてください。

まとめ

展示会にブース出展する際は、出展の目的や展示会のタイプに合わせたデザイン・レイアウトが重要です。今回紹介した事例も参考に、効果的なブースの作成・設営に努めましょう。
​​​​​​​展示会は申込みから会期終了までに、半年~1年以上かかる長丁場となることも珍しくありません。思わぬトラブルを防ぐためにも、早い段階で全体のスケジューリングをしておくことをおすすめします。時間や自社のリソースに余裕がない場合は、展示会主催会社に相談するほか、外部の専門会社を利用して効率化することも視野に入れてはいかがでしょうか。

監修者プロフィール

RX Japan 株式会社 第一事業本部 近藤 彩葉

米国の大学を卒業後、ニューヨークにて勤務。2015年に日本に帰国し、RX Japanに入社。Exhibitor Successエキスパートとして、国内および海外企業が展示会に出展する際のサポートおよびコンサルタントに従事。担当展示会はエネルギー関連からファッション業界まで多岐にわたる。

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