この記事でわかること
- ブースを設計する前の注意点
- ブースへの集客を高めるコツ
- ブースとあわせて準備しておく必要があるもの
展示会に出展する場合、準備すべきものはたくさんあります。ブースへきちんと集客し、自社の認知度向上やリード獲得、さらに成約や受注につなげるためには、事前の計画や準備が不可欠です。
特に出展ブースは、当日になって「イメージしていたものと違った」「変更したいけどできない」といった失敗談も多く聞かれます。出展までに必要なブースの準備方法を紹介するとともに、集客しやすいブースの特徴や作り方、集客力アップのコツを解説します。
集客力のある展示会ブースの特徴
来場者が多く集まりやすいブースに共通する点として、以下の3つがあります。
- 出展の目的やターゲットに合っている
- 遠くからでも目を引く
- 気軽に質問・相談しやすい空間になっている
これらのポイントを確実に押さえておけば、それだけで一定の集客が見込めるブースとなるでしょう。
出展の目的やターゲットに合っている
自社のターゲット層に響くブースが作れるかどうかは、非常に重要なポイントです。
ブース出展は、見込み顧客を獲得するために行うものであり、出展することが目的ではありません。そのため、なぜ出展したいのか、どのような顧客を獲得したいのかを洗い出しておけば、そこから逆算する形でブースの設計を考えることが可能です。
たとえば「自社の新製品をアピールし、新規顧客を獲得したい」という目的なら、新製品が一目でわかりやすいレイアウトがよいでしょう。出展目的がはっきりすれば、自ずと最適なブースの形を決められます。
遠くからでも目を引く
展示会はひとつの巨大な会場に数百社以上が集まる空間です。そうした状況下で自社のブースに立ち寄ってもらうためには、通路上のどこから見ても来場者の興味を引くブースにすることが重要です。
たとえば、以下のような点に工夫を凝らし、遠くから見ても「何をしている会社か」がわかると理想的です。
- ブースのカラーリング
- 展示台の大きさ・形・高さ
- ポスターや壁面に使用する文字の大きさ
- 並べる展示物の数
- 使用する照明の量
ただし、目立つブースとは派手さや華美な装飾ではありません。派手過ぎるブースはかえって客足を遠のかせる可能性もあるため、バランスを意識する必要があります。
気軽に質問・相談しやすい空間になっている
展示している製品に興味を持った来場者が、必要な情報にアクセスしやすい導線を構築しておきましょう。スタッフの姿勢や態度にも注意を払い、気軽に質問できる雰囲気づくりを心がけてください。
一例として以下のようなブースは、来場者に「行きづらい」と感じさせることも多いものです。
- ブース内にいるスタッフが退屈そうにしている
- ブースの複数の面が壁で囲われていて、圧迫感がある
- 大人数のスタッフが待ち構えていて、近づいた瞬間に話しかけられる
- 出展企業や展示されている製品の情報がどこにあるかわからない
いくらターゲットに合っていて会場内で目を引くブースでも、立ち寄りづらい雰囲気があれば集客にはつながりません。準備の段階はもちろん展示会当日にも、立ち寄りやすい空間になっているか確認することをおすすめします。
集客につながる展示会のブースの作り方
実際にブース設計をする際は、次の3点も意識するとよいでしょう。
- ブースの大きさや小間位置に基づいた設計を行う
- 出展目的に合ったブースの種類を決める
- ブース内のコンテンツも工夫する
重要なのは、来場者の目線や気持ちを意識することです。もし設計で迷うことがあれば、「自分が来場者だったら」という視点で考えると、判断しやすくなります。
ブースの大きさや小間位置に基づいた設計を行う
自社のブースの広さと、小間位置(会場内でのブースの位置)も踏まえた見せ方を検討しましょう。
大きなブースに展示物が2~3個置いてあるだけだったり、複数の通路に面しているにもかかわらず壁で囲まれたブースだったりすると、展示内容がわかりにくくなってしまいます。最初にブース内のどこを開放し、どのように来場者を案内するかを決めて、人の流れを想像しましょう。
さらに、前述のとおり、遠くからでも目を引くブースにする必要もあります。「最も来場者が多く来ると想定される方角から眺めたときに自社のブースがどう見えるか」も逆算して設計すると、集客しやすいブースができるはずです。
なお何らかの事情で小間位置が変更になるケースも想定して、左右反転のパターンなど複数のレイアウト案を作っておくと安心です。
出展目的に合ったブースの種類を決める
展示会ブースには、大きく以下の4種類があります。それぞれの特徴や向き不向きを知ったうえで選択し、適切なレイアウトを考えてください。
ブースの種類 | 特徴 |
---|---|
商談会型 | ・来場者と具体的な商談をすることが目的 |
体験型 | ・展示する製品の試用・試運転などができる |
セミナー型 | ・ブースの一角を使って講演やセミナーを行う |
製品展示型 | ・集客の目玉となる製品が目立つように展示する |
「一旦セミナー型のブースを想定しておき、会場の様子次第で体験型に変える」と考えている方もいるかもしれません。しかし、ブースの種類は早めに決めておきましょう。展示会のブースは、当日のレイアウト変更が難しいケースもあります。
ブース内のコンテンツも工夫する
ブース内には、なるべく複数のコンテンツを用意しましょう。「わずかな製品しか展示されていない」「1日に数回のセミナーが開催されるだけ」では内容が単調になり、来場者が寄り付きにくく、滞在時間も短くなる恐れがあります。
展示する製品は、実際に触れたり、操作したりできる準備もしておくとよいでしょう。セミナーを開くのであれば、来場者がリアクションできる時間を設けるなど、双方向性のあるコンテンツを盛り込むことをおすすめします。
ブースのデザインについては、以下の記事でも解説しています。
ブースのほかに展示会で必要なもの
展示会のジャンルによっても変わりますが、成果が出るブースを作るためには、以下の準備も必要です。
- 製品の実物やパネルなどのディスプレイ用品
- 配布するチラシやノベルティ
- 商談記録のメモやアンケート
- ブース運営に必要な資料・データ類
- 文房具・収納用品・掃除用品
- そのほか、展示内容に応じて必要なもの
準備する際のポイントや注意点なども含めて、必要なものを解説します。
製品の実物やパネルなどのディスプレイ用品
- 紹介したい製品とサービス資料類
- ブースの装飾に使う看板やパネル
- パネル展示用のチェーンやS字フック
- 養生テープ、ガムテープ、両面テープ
展示会でアピールしたい製品や装飾に使うパネルなどは、どのような展示会でも必ず使うものです。会場でブースを作る際も、目玉となる製品が目立つように構成しなければなりません。準備段階で真っ先に用意し、会場でもすぐに取り出せるようにしておくとよいでしょう。
テープ類は、少し多めに用意しておくことをおすすめします。「来場者が整列しやすいよう、足元に誘導用の線や矢印を描く」「片付けのときに、コードをまとめる」など、展示に使う以外にもさまざまなシーンで活用できます。
配布するチラシやノベルティ
ブースに来訪した人にはもちろん、ブースの前の通路を通り過ぎる人にもチラシを手渡して自社の印象を残すことも重要です。
チラシは製品の種類だけ用意するのが基本になります。複数のチラシを配布したいときはクリアファイルなどにセットしておくのがよいでしょう。
手提げをノベルティグッズとして用意しておくと、各ブースで受け取ったチラシをまとめておけるので好評なことが多いようです。
アンケートへの回答や名刺交換をノベルティ贈呈の条件にするのも有効です。
商談記録のメモやアンケート
接客が終わったら忘れないうちに相手の状況や興味の度合いをメモに残して、名刺に貼り付けておくと会期後の情報整理がしやすくなります。
商談結果を記録するためのメモ用紙や会場で回答を促すためのアンケートも用意しておきましょう。
ブース運営に必要な資料・データ類
運営マニュアルやシフト表も早めに作成して社内に周知し、会場に持参するパソコンやタブレットなどにもデータを移しておきましょう。来場者が自社の資料を気軽に手に取れるよう、資料スタンドも置いておくと便利です。
マニュアルやシフト表は、印刷した用紙も数部用意しておくと安心です。会場の通信環境が思わしくない、デバイスの電源が入らなくなるといったトラブルが発生した場合でも、迅速に内容が確認できます。
文房具・収納用品・掃除用品
- 筆記用具
- メモ帳
- クリアファイル
- ハサミやカッター
ちょっとしたメモを取る、配布する資料に説明を書き加えるなど、会場で文房具が必要になるシーンは意外と多いものです。最低限の筆記用具と、A4サイズのクリアファイル、ハサミなどを持っていると便利でしょう。
展示会場で余計な仕事が増えないように、自社にある備品を持って行った方が確実です。
- コンテナや台車
- 掃除道具
- ゴミ箱とゴミ袋
小型のコンテナや一度に多くの荷物を運べる台車もあると便利です。多くの人が来場すると、自然とブース内も汚れるものです。掃除道具やゴミ箱があれば、ブース内をきれいな状態を保てるうえ、設営・撤収時にも役立ちます。
そのほか、展示内容に応じて必要なもの
これまで紹介してきたもの以外にも、ブースの内容によって準備すべきものがあります。
ブースの展示内容やコンテンツ | 準備が必要なものの例 |
---|---|
飲食物を提供する | ・割りばし |
パソコンを使う | ・延長コード |
講演やセミナーをする | ・レーザーポインター |
あらかじめ自社のブースで必要になりそうなものを洗い出しておき、ほかの物品と合わせて用意しておくとよいでしょう。
ブースの集客力をさらにアップさせるコツ
ブースの集客力をより高めるために、次の4つのコツもぜひ意識したいところです。
- ブース装飾の規定を確認しておく
- 事前・当日の告知に力を入れる
- 会場で過度な呼び込みや声かけをしない
- 展示会のプロへの外注も検討する
最初に1.をチェックし、その後にほかの内容への対応を考えることをおすすめします。
ブース装飾の規定を確認しておく
ブースの高さや開口部分、スピーカーの設置方法など、展示会によってブースの作り方には制限が設けられています。自社が出展する展示会の装飾に関する規定の確認は必須です。
もし搬入期間中に規定違反が発覚した場合は、ブースの一部を削るなど設営がやり直しになるケースもあります。設計・施工会社にも規定を渡して、関係者全員に遵守させてください。
ルールのなかで最大限、自社の特長を活かした展示方法を考えると、結果的に集客しやすいブースができあがるでしょう。
事前・当日の告知に力を入れる
展示会への出展が決まったら、告知にも注力しましょう。自社で獲得したい見込み顧客を想定し、さまざまな告知の方法を組み合わせて計画することをおすすめします。
- 取引先へ電話やメールで案内をする
- 営業担当者が訪問先で案内状を手渡す
- プレスリリースを出す
- 自社のSNSへ投稿する
告知は一度だけではなく、複数回実施することも重要です。一度の告知だけでは、見た人に忘れられてしまう場合もあります。特に、会場に呼びたい相手には、開催日が近づいたらリマインドの連絡をするとより効果的です。
社内での準備の様子やブースの設営、現場の様子をSNSで発信するのもよいでしょう。事前の告知ではわからなかった会場の雰囲気が伝わり、客足が増えるかもしれません。
会場で過度な呼び込みや声かけをしない
展示会当日に、来場者に手あたり次第に声をかけたり、大声で呼び込みをしたりするのは避けましょう。来場者を警戒させ、かえって立ち寄る人を減らしてしまうリスクがあります。
会場では「集客したい」という気持ちを少し抑えて、来場者にとってストレスがない雰囲気づくりを意識しましょう。人だかりができていたり、目を引く展示があれば、こちらから声をかけなくても自然と来場者は集まるものです。
展示会のプロへの外注も検討する
すべての準備を自社でやりきろうと思うと、ブース出展の担当者や現場には相当な負担がかかります。準備や運営に十分な時間が取れないと感じる場合は、プロの手を借りるのもよい方法です。
装飾は外部のデザイン会社に依頼し、机や椅子といったブースの備品もレンタルが可能です。展示会運営を得意とする主催会社などに、準備から当日の進行までをサポートしてもらうこともできます。
ただし、外注すると、追加で費用がかかることになります。外注費としていくら用意できるのか、どの工程を外注してどういったスケジュールで進めるのかなど早めに決めておくことが重要です。
まとめ
展示会ブースは当日のレイアウト変更が難しいことも多く、ブースに集客できるかどうかは事前の準備をどれだけ入念に行ったかに左右されます。
自社だけでの対応が難しい内容、特にブースの企画や設計は、装飾会社へ早めに相談するとよいでしょう。イベント運営に慣れた会社なら、企画から準備、設営や当日の運営までを一貫して依頼できるところもあるため、自社の負担を軽減できるでしょう。
RX Japan 株式会社 第一事業本部 近藤 彩葉
米国の大学を卒業後、ニューヨークにて勤務。2015年に日本に帰国し、RX Japanに入社。Exhibitor Successエキスパートとして、国内および海外企業が展示会に出展する際のサポートおよびコンサルタントに従事。担当展示会はエネルギー関連からファッション業界まで多岐にわたる。
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