この記事でわかること
- オフラインイベントのメリット、デメリット
- オフラインイベントを開催する大まかな手順
- オンライン開催と迷った場合の判断基準
オフラインイベントは、実際の会場に人々が集まって開催されるため、参加者同士が対面で密なコミュニケーションを取れる点が大きなメリットです。準備の手間や費用はかかりますが、対面営業のノウハウを生かした対応もできるため、特にBtoBのイベントには向いている開催方式です。
オンラインイベントとの違いや開催方式の決め方にも触れながら、オフラインイベントの概要を解説します。
オフラインイベントとオンラインイベントの違い
オフラインイベントとオンラインイベントは、「会場」「参加方法」「参加者との距離」の大きく3つが異なります。それぞれの特徴は、次のとおりです。
イベントの種類 | オフラインイベント | オンラインイベント |
---|---|---|
会場 | ホールや展示場などの施設 | Web上の仮想空間 |
参加方法 | 会場に足を運ぶ必要がある | デバイスと通信環境があれば、どこからでも参加可 |
参加者との距離 | 近い(対面) | 遠い(画面越し) |
「どちらの方が優れている・正解である」「どちらなら必ず成功する」といった絶対的な判断基準はありません。それぞれにメリット・デメリットがあり、オフラインイベントが適していることもあれば、オンラインイベントがよいこともあります。
特徴を比較検討し、自社がイベント開催を通じて達成したい目的に合う方式を選ぶとよいでしょう。
オフラインイベントを開催するメリット
オフラインイベントには、大きく次の2つのメリットがあります。
- 顧客や取引先などと直接会って話せる
- 参加者に集中して話を聴いてもらえる
こうした点を魅力的だと感じる場合、オフラインイベントを検討するのがよいでしょう。
顧客や取引先などと直接会って話せる
まず、参加者と対面で話せるのは大きなメリットです。オンラインイベントでも画面越しに顔を合わせることは可能です。しかし、オフラインイベントの方が、会場の雰囲気や当日の体験などが鮮烈に参加者の記憶に残るものです。
また、オンラインのミーティングでは、議題をスムーズに進行する必要があることから、本筋以外の「雑談」はしにくいと思います。一方、直接対面で話している状況であれば雑談も自然ですし、一見本筋に関係なさそうな雑談からビジネスにつながるヒアリングができる場面が多いことも直接会って話すメリットです。
さらに、会場の空気感や参加者のリアクションに合わせて、内容を臨機応変に調整できる点も強みだといえるでしょう。何らかのトラブルがあってもすぐに対応できるため、主催者・参加者ともに安心感がある点も特徴です。
参加者に集中して話を聴いてもらえる
オンラインだと、カメラをオンにしていたとしても別の業務をしながら片手間に参加することも可能なので気が散りやすい特徴があります。その点、オフラインであれば目の前に相手がいるため、集中して話を聴いてくれます。
また、会場までわざわざ足を運ぶということは、それだけ参加への熱意もあるということでもあります。
オフラインイベント特有のデメリット
次のように、オフラインイベントならではのデメリットもあります。
- 準備に多大な時間と費用がかかる
- 中止の場合の負担が大きい
運搬や設営など物理的な準備の手間がかかるほか、費用もオンラインに比べると多くかかります。
準備に多大な時間と費用がかかる
オフラインイベント開催のために、必要なものは多岐にわたります。会場の確保が必要なことはもちろん、展示する製品やパネル・装飾、設営に使うテーブルや椅子など規模が大きいほど、運送や調達の手間やコストも膨大になります。
開催日まで時間がない場合や、社内にイベント経験のある従業員が少ないと、普段の業務と並行しながらの準備は大きな負担になるでしょう。
会場が遠方の場合には、スタッフの交通費・宿泊費用も必要です。準備すべき備品などに漏れがあると、開催に大きな悪影響をおよぼす可能性もあります。
中止の場合の負担が大きい
悪天候や感染症の流行などでイベントそのものが開催できなくなった場合、自社に多大な損失が出ることもあり得ます。屋内のイベントでも台風の接近時のように交通機関に影響が出るときは、開催を断念せざるを得ないケースも考えられます。
会場やレンタル什器、レンタカーやホテルなどの予約を取り消す場合は基本的に、キャンセル料が発生します。また、来場を予定していた方々への中止連絡やアフターフォローも必須です。
イベントが中止になった日が開催日と近いほど、こうした対応を短期間で完了させなければならなくなります。担当者にとっては、大きな負担になるでしょう。
それぞれのイベントを開催する手順
オフラインイベント・オンラインイベントを開催するまでの手順を、簡単に解説します。
オフラインイベントを開催する場合
オフラインイベントは、以下の手順で開催します。
- イベント開催の目的を確認する
- 開催日時と会場、内容を決める
- 会場設営・装飾に必要な備品や什器などを手配する
- 告知を行い集客する
- 必要な人員の手配や交通・宿泊を確保する
- 物品などを運送し、設営を行う
- 会期が終了したら参加者のアフターフォローをする
オフラインイベントは準備の手間がかかりますので、あらかじめ役割分担を明確にしておくことも大切です。その上で、定期的に準備の進捗を確認するミーティングを行うと漏れがなく進められます。
また、会場の予約、備品や什器などの手配は早めに行いましょう。
オンラインイベントを開催する場合
オンラインイベントの開催手順は、以下のとおりです。
- イベント開催の目的を確認する
- 開催日時と内容、参加方法を決める
- 開催に必要な道具や機材をそろえる
- 告知を行い集客する
- リハーサルをする
- 会期が終了したら参加者のアフターフォローをする
オンラインイベントは配信に使う機材が手配できていれば、物理的な移動はほぼ発生しないでしょう。
ただし、会場となる場所に通信環境が整っていない場合には、まずその工事から行わなければなりません。出演者や登壇者がどこから参加するか、通信環境に問題がないかは、リハーサル時に必ず確認しておきましょう。
また、オンラインイベントは、誰もが気軽に参加申込みしやすい一方で、当日の参加率が低くなる傾向にあります。集客努力や、参加率を高めるリマインドなども欠かせません。
イベントを開催するならどちら?決め方の基準
オンラインイベントとオフラインイベントのどちらで開催するか判断が難しいこともあるでしょう。そこでいくつか状況別に適している開催方式を紹介します。
なお、自社だけで対応するのが不安な場合は、外部のイベント運営会社へ依頼するという手段を取ってもよいでしょう。
参加者と深く交流したいならオフライン
参加者に向き合って、じっくりと対話したい場合はオフラインイベントを選択しましょう。
オンラインイベントに比べて、至近距離で、かつ対面での会話や体験などを通じた密度の高い交流ができるため、準備の負担やコストはかかりますが、それ以上に確度の高い見込み顧客を獲得しやすいのは大きなメリットだといえます。
BtoBのイベントの場合は、オフラインは商談や情報交換がしやすいという声が多いようです。またBtoCイベントでも会場の熱気や参加者同士の一体感を感じやすいという点でオフラインが人気です。
製品やサービスに触れてもらいたいならオフライン
「実際に製品の操作体験をしてもらいたい」など、参加者の体験に重きを置く場合もオフラインの方が適しています。
オンラインイベントでも、ITサービスなどは画面越しでレクチャーしたり、実際の操作画面を見せたりといった工夫はできるでしょう。しかし、相手の表情が見えないため反応を確かめられない、サンプルや操作方法についての不明点があっても参加者がその場で聞けないといったことはデメリットだといえます。
周囲に案内役やほかの参加者がいる環境での体験と、自宅や会社などを比較すると体験への没入感にも大きな差が生まれます。
手軽に開催したいならオンライン
備品の購入費やスタッフの交通費などの経費を抑えたい場合は、コストが安くて済むオンラインイベントがおすすめです。
自社にカメラやマイク、通信環境が整っていれば、新たに備品を購入する必要はありません。もし自社に備品がない場合も、配信機材さえそろえば開催できます。何らかの理由でイベントが中止や延期になった場合でも機材を保有していればいつでも開催できるうえ、キャンセル料も発生しません。
特に、はじめてイベントを開催するなど、低コスト・低リスクで開催したい企業に最適です。
全国から集客したいならオンライン
特定のエリアにこだわらず全国から集客したい場合や、地方のピンポイントな地域から集客したい場合には、オンラインイベントが向いています。国内だけではなく、海外からの集客も可能です。
ただし、手軽に参加できるため、オフラインイベントよりは関心の低い参加者も多いと考えられます。そのため、精度が高いリードだけを獲得できるとは限らず、イベントを通じてどのようなリードを獲得したいのかを考えて、どちらの方法で開催するかを選ぶとよいでしょう。
「ハイブリッド型」という選択肢もある
それでもどちらがよいか迷う場合は、「ハイブリッド型」の開催という方法もあります。
ハイブリッド型とは、ひとつのイベントでオンライン・オフラインを併用する方法です。
- オフラインで行うイベントの様子を、オンラインで配信する
- オープニングイベントはオンラインで行い、メインイベントはオフラインで開催する
- オフラインで行うイベントの登壇者に、リモートで参加してもらう
ただし、オンライン・オフラインのそれぞれの準備を一度に行うことになるため、予想以上に準備の手間とコストがかかる可能性はあります。また、オンラインの参加者が多く、実際の会場が閑散としていると、盛り上がりに欠けるというリスクも考慮しなくてはなりません。ハイブリッド型を原因とする一体感の欠如も起こる可能性があります。
まとめ
オフラインイベントはオンラインイベントに比べて、取引先や顧客と対面でじっくり話せる、確度の高いリード獲得ができるなど、BtoBイベントに向くメリットが多数あります。準備の手間や費用はかかるものの、検討の余地は十分あるでしょう。
ただし、自社にイベント開催経験がない場合、オフラインイベントの開催が難しいこともあります。その場合は、外部のイベント運営会社を頼るのも良い方法です。
RX Japan 株式会社 第三事業本部 早田 匡希
2005年にリード エグジビジョン ジャパン株式会社(現在のRX Japan)に入社。エレクトロニクス技術の展示会「ネプコン ジャパン」、フラットパネル開発・製造の展示会「ファインテック ジャパン」を担当し、営業活動/マーケティング活動に従事。2007年には営業責任者、マーケティング責任者に就任。その後、自動車向けの電子技術であるカーエレクトロニクスの専門展の新規立ち上げを担当し、2009年1月、「【国際】カーエレクトロニクス技術展」を初開催。2012年に事務局長に就任。2018年に医薬品・化粧品の開発・製造展である「インターフェックス Week」、飲料開発・製造展「ドリンク ジャパン」の事務局長に就任。2019年より第三事業本部長。
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