ビジネスマッチングとは?主催企業から見る展示会活用のポイントや注意点を解説
By sayaka.yamashita_hakuhodody-one.co.jp 展示会のノウハウ
この記事でわかること
- ビジネスマッチングの基本知識・メリット
- ビジネスマッチングの成功の秘訣
- ビジネスマッチングの具体事例
近年、ビジネスでもオンライン化が進んでおり、ビジネスチャンスを得る方法も多様化しているのが実情です。
このような状況において、自社事業の成長・拡大のために「ビジネスマッチング」が注目されています。
そこで本記事では、ビジネスマッチングの概要や種類、活用する上でのポイントなどを解説しつつ、企業の成功事例も紹介します。
ビジネスマッチングとは

ビジネスマッチングとは、企業同士が互いのニーズを持ち寄り、新たなビジネスチャンスを創出する活動です。
- 新規顧客獲得
- 販路拡大
- 協業パートナー探し
- 技術提携
など、さまざまな目的で活用されています。
単なる企業紹介にとどまらず、具体的な商談や契約につなげるための戦略的な取り組みとして注目を集めているのが特徴です。
近年、市場の変化が加速し、オンライン化が進展する中で、ビジネスマッチングの重要性は高まっています。
また、従来の営業手法だけでは新規開拓が困難になり、効率的にビジネスパートナーを見つける手段として多くの企業が活用を始めました。特に、中小企業にとっては、限られたリソースで最大限の成果を生み出すことに有効な手段となっています。
ビジネスマッチングを利用するメリット

企業がビジネスマッチングに取り組むメリットは多岐にわたります。新たな販路開拓、普段出会えない企業との接点創出、新技術・アイデアの発見、ブランド認知度向上など、さまざまな効果が期待できます。
これらのメリットを理解し、自社の成長戦略に組み込むことで、持続的な事業拡大を実現できるでしょう。
新たな販売チャネルを開拓できる
自社だけではアプローチが困難な「新しい顧客層や市場」へのアクセスが可能になります。
- これまで想定していなかった業界や分野への販路
- 多様な企業が集まる場でのビジネスチャンス
- 異業種との接点による自社製品の新たな用途開発
例えば、製造業の企業が医療分野への参入を検討する際、業界特有の規制や商習慣を理解している企業との出会いが、新規参入の突破口となることもあります。
普段リーチできない企業と接触できる
地域や業界の垣根を越えて、普段の営業活動では接点を持つことが難しい企業と直接対話する機会が得られます。接触できる企業の例は、以下の通りです。
- 大手企業の決裁権者
- 特定の技術を持つ企業
- 革新的なスタートアップ
- 海外企業
人的ネットワークの拡大は、将来的なビジネスチャンスにもつながります。ビジネスマッチングで出会った企業との縁が、数年後には大規模なプロジェクトを共に進める関係へと発展することも珍しくありません。
信頼関係を築くことで、情報交換や相互紹介など、ビジネスの幅が広がっていきます。
他社の新技術やアイデアを知れる
自社の事業課題解決のヒントとなる他社の技術やサービス、ビジネスモデルに触れることができます。
- 最新技術やサービスの動向
- 他社の成功事例・失敗談
- 市場の最新トレンド
- 協業や技術導入の可能性
オープンイノベーションの時代において、外部の知見を取り入れることは競争力強化に不可欠です。他社の成功事例や失敗談から学び、自社の戦略に生かすことで、リスクを抑えながら新たな挑戦ができるでしょう。
技術の進化が速い現代では、このような情報収集の場は極めて重要な意味を持ちます。
ブランド認知度が向上する
多くの企業関係者に対して、自社の製品・サービス、技術力を直接アピールできる絶好の機会となります。特にイベント型のマッチング(展示会・商談会・交流会)では、メディアに取り上げられたり、業界内でのプレゼンスを高めたりする効果も期待できます。
ブランド認知度の向上は、採用活動にも良い影響を与えます。優秀な人材は、知名度の高い企業や将来性のある企業を選ぶ傾向があるため、ビジネスマッチングでの露出は人材確保の面でもメリットがあります。
継続的な参加により、業界内での存在感を確立できるでしょう。
ビジネスマッチングの種類

ビジネスマッチングを実現するための代表的な手法は、大きく3つに分類されます。
それぞれに特徴、メリット、デメリットがあるため、自社の目的や状況に応じて最適な方法を選択することが重要です。
イベント型(展示会・商談会・交流会)
特定のテーマや目的のもとに企業が一堂に会し、直接的な交流を通じてマッチングを図る形式です。
製品やサービスのデモンストレーションが可能で、来場者の反応を直接見ながら深いコミュニケーションが取れる点が最大の魅力となっています。
一度に多くの潜在顧客やパートナー候補と効率的に接触でき、その場の熱気や臨場感も商談意欲を高める効果があります。また、製品の実物を見て触れてもらうことで、カタログやウェブサイトでは伝えきれない価値を訴求できます。
ただし、開催日時や場所が限定されるため、参加への制約があることは考慮すべき点です。
プラットフォーム型(アプリ・ウェブサイト)
オンライン上で企業情報やニーズを登録し、システムや運営者を通じてマッチングが行われる形式です。時間や場所を選ばずに効率的に相手を探せる手軽さがメリットとして挙げられます。
AI技術の発展により、マッチング精度も向上しており、自社のニーズに合致した企業を見つけやすくなっています。
初期投資も比較的少なく、中小企業でも参入しやすい環境が整っている一方で、対面のコミュニケーション不足や情報の信頼性確認の難しさが、デメリットとして挙げられます。
紹介・仲介型(金融機関・自治体・コンサルタント)
取引のある金融機関や地域の支援機関、専門コンサルタントなどが、それぞれのネットワークを生かして企業同士を引き合わせる形式です。
信頼性の高さや、自社のニーズに合った企業をピンポイントで紹介してもらえる可能性がある点がメリットとして挙げられます。
また、仲介者によるスクリーニングを経ているため、質の高いマッチングが期待できます。地域密着型の支援を受けられることも多く、きめ細かなフォローアップが受けられる点も魅力です。
一方で、紹介先の限定性や仲介手数料が発生する場合がある点は、デメリットとして注意が必要です。
ビジネスマッチングを利用する上での注意点

マッチングの機会を最大限に生かし、具体的な成果につなげるためには、いくつかの重要なポイントに留意する必要があります。
特に、準備不足や戦略の欠如は、貴重な機会を無駄にしてしまう原因となります。
来場者の属性に合わせたアプローチが必要になる
参加するマッチングの種類やイベントの特性を理解し、ターゲットとする来場者層を明確にした上で、それに合わせた情報提供やコミュニケーション戦略を準備する必要があります。
【準備すべき事項】
- ターゲット来場者層の明確化(業種・役職・目的)
- 来場者属性に応じた資料の準備
- 技術者向け・経営者向けなど、複数のトークスクリプト
- 過去の参加企業情報の収集と分析
例えば、技術者向けの展示会では専門的な説明を重視し、経営者向けの交流会では投資効果やビジネスメリットを前面に出すなど、アプローチ方法を変える必要があるでしょう。
自社の魅力やニーズを的確に伝えることが必要になる
限られた時間の中で、相手に自社の強みや製品・サービスの提供価値、求めている連携内容などを分かりやすく、かつ魅力的に伝えるための準備が不可欠です。
主な準備は以下の通りです。
- エレベーターピッチ(15〜30秒で要点を伝える)の作成
- 簡潔で分かりやすい資料作成
- 効果的なデモンストレーションの準備
- 相手のニーズを聞き出す質問リストの作成
- 印象に残るサンプルや配布物の用意
また、一方的な説明ではなく、相手のニーズを聞き出し、それに応じた提案ができる柔軟性も重要です。
配布資料やサンプルは、後日の振り返りを考慮して印象に残るものを用意しましょう。
成約に向けたフォローアップが必要になる
マッチングはあくまでも出会いのきっかけであり、その後の継続的なコミュニケーションや具体的な提案を通じて、初めて成約に結びつきます。主なフォローアップの手法としては、以下が挙げられます。
- 名刺交換後24時間以内にお礼の連絡
- CRMシステムでの接触履歴管理
- 相手企業の検討スケジュール把握
- 定期的な情報提供の仕組み
- 決裁時期に合わせた戦略的な提案
このような戦略的なフォローアップ体制の構築が、成約率を大きく左右するでしょう。
ビジネスマッチングで展示会を活用した事例を紹介

ここからは、展示会をビジネスマッチングの機会として活用した企業事例をいくつか紹介します。
各企業が、どのように展示会を活用したか、どれだけの成果を得たかなど、自社がビジネスマッチング活動をする際の参考にしてみてください。
協和工業株式会社:初出展で販売チャネルの拡大を実現
協和工業株式会社は、精密板金加工技術を誇る加工メーカーとして、「ものづくりワールド」への初出展で想像以上の成果を上げました。
従来の展示会では50〜100部程度だったパンフレットの配布が、今回は500部でも足りなくなるほどの盛況ぶりだったといいます。
同社は、新たな販売チャネルの拡大を実現し、4〜5社から引き合いを獲得。その中には1,000万円規模の大型案件も含まれていました。
多様な業界の来場者との対話から、これまで想定していなかった医療機器や宇宙航空関連への技術応用の可能性も発見できたとのことです。
また、ブランド認知度向上の面でも、大規模展示会への出展が社内の自信につながり、次回出展も即決したそうです。
出典:RX Japan株式会社「はじめての大規模展示会。想像以上の成果をあげられたのは、RX Japanのサポートがあったから」
株式会社アーバンプラン:長期的な取り組みで大手企業との取引を実現
オフィスデザインや内装工事を手掛ける株式会社アーバンプランは、無形商材を扱う企業として「働き方改革 EXPO」に挑戦しました。出展3年目にして、初出展時に出会った来場者から数億円規模の受注を獲得し、展示会の長期的な効果を実証しました。
同社は、普段リーチできない大手企業との接触に成功し、それまで接点がなかった企業との取引を実現。参加型のブースづくりで来場者との対話を重視し、付箋でオフィスへの要望を集めるなど、双方向のコミュニケーションを実現しました。
また、若手社員の成長の場としても活用し、展示会を通じて市場トレンドの把握や営業スキルの向上にもつながったといいます。
出典:RX Japan株式会社「展示会は、お客さまと対話できる場所。無形商材を扱う企業の、新たな営業手法に」
株式会社AirSol:新たな販売チャネルの開拓に成功
SNS運用代行や広告制作を手掛ける株式会社AirSolは、2020年の「COSME Week」初出展以来、展示会を営業活動の主軸として活用しています。初出展から現時点までで、COSME Weekからの受注総額は約6,000万円に上る大きな成果を達成しました。
同社は、新たな販売チャネルの開拓に成功し、3日間の会期中に70〜120件のアポイントを獲得するという驚異的な数字を記録。普段リーチできない企業との接触では、100年以上続く老舗ホテルから相見積もりなしで受注を獲得し、「過去最高に良い広告だった」という評価も得ました。
また、プロのアドバイスを受けて改善したブースは、初出展時の半分のスペースでも大盛況となり、ブランド認知度向上にも大きく貢献しました。
出典:RX Japan株式会社「出展の成果は、少しの工夫で大きく変わる!RX Japanとチームで取り組むブースづくり」
展示会出展についてよくある質問
ここまでで展示会への出展に興味や関心を持ったものの、まだ疑問や不安はあると思います。
そこで、ここからは展示会出展を検討する際に多くの企業が抱く疑問について、実践的な観点から回答します。
出展費用は具体的にどれくらいかかりますか?費用対効果は合いますか?
出展費用は規模により数十万円から数百万円まで幅があります。内訳としては、ブース装飾費、人件費、販促物制作費、運搬費などが含まれます。
費用対効果については、単純な費用の高低ではなく、得られる成果との比較で判断することが重要です。
協和工業の事例では、4〜5社から引き合いを獲得し、1,000万円規模の案件も含まれていました。アーバンプランは初出展から3年後に数億円規模の受注を獲得しています。このような長期的な視点での投資対効果を考慮すべきでしょう。
また、中小企業向けの補助金制度を活用することで、費用負担を軽減することも可能です。こちらの「展示会出展で使える補助金・助成金|国や各自治体による展示会支援内容のまとめ」も併せてご覧ください。
準備にはどれくらいの期間と人員が必要ですか?
一般的に、初めての出展では3〜6カ月程度の準備期間が必要です。人員については、当日の対応スタッフだけでなく、準備段階から関わる人材も必要になります。
また、出展の準備に際しては、出展目標やレイアウトの決定、案内状での事前集客など、いくつか押さえておくべきポイントがあります。
こちらの資料「ゼロからはじめる!展示会出展パーフェクトガイドブック」や、出展サポートサービスを活用することで、効率的な準備が可能です。
中小企業やスタートアップでも出展する価値はありますか?
資金力や知名度で大手企業に劣る場合でも、展示会はビジネスマッチングに非常に有効な手段です。
アーバンプランの代表は「展示会ではどんな企業もフラットに見てもらえる」と述べており、大手企業とニッチな企業が横並びで評価される環境があります。
中小企業ならではの強みとして、意思決定の速さ、技術の独自性、きめ細かな対応力などをアピールできます。
特に、大手企業が見落としがちなニッチ市場のニーズに応える製品・技術の展示は、来場者の関心を集めやすい傾向があります。
また、補助金制度の活用により、費用面のハードルも下げられます。
どの展示会に出展するのが最適ですか?
自社の製品・サービス、ターゲット顧客、出展目的に合致した展示会を選ぶことが成功のポイントです。
協和工業は「ものづくりワールド」の活気と、幅広い業界の来場者層に魅力を感じて出展を決めました。アーバンプランは、バックオフィス関連の展示会として貴重な「働き方改革 EXPO」を選択しています。
自社がどの展示会に適しているか、どのような展示会があるかを探す際は、こちらの「展示会の一覧・検索ページ」でぜひ比較検討してください。
来場者属性、出展企業の傾向、過去の実績などを詳細に調査し、自社に最適な展示会を見つけましょう。
また、過去の出展企業からは次のような声もいただけました。
現場を見て、触って、体験して、「あ〜いいね」「これは使える」といった、お客さまの「生の声」を実感できるのが展示会(2020年12月開催 高機能素材展)
正直少ないかなあと思ったら、めちゃくちゃブースに来てくれて驚いた。想定の20倍の来場者数(2020年10月開催 ファッション展)
創業1年目、売上の全ては展示会の出展からだった。実際に会って話せる影響力は計り知れない(2020年10月開催 ファッション展)
まとめ
なぜ今、ビジネスマッチングが必要なのか、改めて整理すると以下の点が挙げられます。
・市場環境の急速な変化により、従来の営業手法だけでは新規顧客の獲得に限界がある
・効率的にビジネスパートナーを見つける手段として注目されている
・特に中小企業にとって、限られたリソースで最大限の成果を生み出す有効な手段
このように、ビジネスマッチングにより、普段リーチできない企業と接点を持ったり、販売チャネルを拡大したりできます。また、展示会に参加する場合は、継続的に出展することで認知度も向上します。
ビジネスマッチングは、主に「イベント型」「プラットフォーム型」「紹介・仲介型」の3種類があるため、自社の課題や目的に応じて使い分けましょう。
特に、イベント型は以下の点でもおすすめです。
・製品デモ
・深いコミュニケーション
・熱量の共有など
もし、一度に多くの潜在顧客やパートナー候補と直接出会い、自社の製品や技術を効果的にアピールしたいと考えているなら、展示会への出展は非常に有力な選択肢となるでしょう。まずは、情報収集や小規模な展示会の視察から始め、具体的な一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

RX Japan株式会社 マーケティング本部 瀬戸 優和
2006年にリード エグジビジョン ジャパン株式会社(現在のRX Japan)に入社。医薬品製造技術の展示会「インターフェックス」などを担当し、営業活動/マーケティング活動に従事。2009年には営業責任者、来場者集客責任者に就任。その後、医療・介護の展示会「メディカルジャパン」の新規立ち上げを担当し、2013年2月に初開催。2020年からは、社内でマーケティングを広めて、デジタルマーケティングやツールの導入や代理店との新たな連携を促進するなどし、社内でのマーケティング文化の醸成、リテラシー向上にむけて活動を行った。
2025年マーケティング本部新設と同時に同年1月よりマーケティング エグゼクティブエキスパートに就任。
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