この記事でわかること
- ネットワーキングイベントの基本知識・メリット
- 参加する目的を達成するためのイベントの選び方
- 参加者同士の交流を深めるポイント
あらゆるビジネスでオンライン化が進み、中にはオンラインのみで完結してしまうビジネスもあります。
このような環境の中で、逆にリアルでのイベントを通じた人脈構築、ビジネスパートナー探しなども注目を集めています。
そこで本記事では、ネットワーキングイベントの種類や特徴、イベントの選び方、参加するメリットなどを解説します。
ネットワーキングイベントとは

ネットワーキングイベントは、参加者同士が交流し、新たな人脈(ネットワーク)を築くことを主な目的としたイベントです。
単なる名刺交換に留まらず、情報交換、ビジネスチャンスの創出、協業パートナー探し、学び合いなど多様な目的で行われています。
近年では、オンラインとオフラインを組み合わせたハイブリッド形式も増加しており、地理的制約を超えた交流が可能になりました。
ネットワーキングイベントには、業界内の専門家との出会い、異業種との連携機会、最新情報の収集など、参加者にとってさまざまなメリットがあります。
ネットワーキングイベントの種類

ネットワーキングイベントは、目的や形式によって何種類かに分けられます。参加者のニーズや業界特性に応じて、最適な形式を選ぶことが重要です。ここでは、主なネットワーキングイベントについて、特徴を紹介します。
ビジネスマッチングイベント
商談や具体的な提携を主目的とし、企業同士のマッチングを重視する形式です。
ビジネスマッチングでは、参加企業が事前に自社の強みやニーズを登録し、システムによる最適なマッチングや事前予約制の商談が設定されることが多くあります。代表的な機会として展示会があり、RX Japan株式会社が主催する各種展示会では、業界別に特化した商談機会を提供しています。
出展企業と来場者が直接対話できる環境が整備され、新規取引先の開拓や既存顧客との関係強化に活用されています。
レセプションパーティー
比較的自由な形式で、飲食を伴いながら多くの人と気軽に交流できる場です。
立食形式が一般的で、参加者は自由に移動しながらさまざまな人と会話を楽しめます。偶然の出会いから思わぬビジネスチャンスが生まれることも珍しくありません。
カジュアルな雰囲気の中でなら、肩肘張らない交流ができるため、相手の人柄や価値観を知る良い機会となります。業界の垣根を越えた幅広い人脈形成に適しており、異分野からの新しい視点やアイデアを得られる場として活用されています。
ラウンドテーブルディスカッション
少人数で特定のテーマについて深く議論し、参加者同士の専門的な知見や意見を交換する形式です。
参加者全員が発言機会を持ち、多角的な視点から課題を検討できるため、質の高い議論が期待できます。同じ課題意識を持つ専門家同士の出会いの場として機能し、具体的な協業や共同研究のきっかけとなることもあるでしょう。
ラウンドテーブルディスカッションでは、事前にテーマや参加者プロフィールが共有されることが多いため、準備をして臨むことで、より建設的な議論が可能となります。
ワークショップ
参加者が作業や体験を通じて能動的に学び合い、その過程で自然な交流が生まれる形式です。デザイン思考、プロトタイピング、ブレインストーミングなど、実践的なスキルを身につけながら、共同作業を通じて参加者同士の関係性が深まります。
グループワークでは役割分担や協力が必要となり、お互いの強みや考え方を理解する絶好の機会となります。成果物を作り上げる過程で生まれる一体感は、その後の継続的な関係構築にもつながりやすいというのも特徴です。
ネットワーキングイベントに参加するメリット

ネットワーキングイベントに参加することで、さまざまなメリットや効果が得られます。
新規開拓はもちろんのこと、新たな関係構築ができたり、業界のトレンド情報を集められたりと、ビジネスの成長には欠かせないメリットも少なくありません。
ここからは主なメリットについて、詳しく解説します。
新規顧客を開拓できる
Web広告やメールだけではアプローチできない層や、直接対話を通じてニーズを深く掘り下げたい潜在顧客と接点を持つ絶好の機会となります。デジタルマーケティングでは把握しきれない、顧客の本音や潜在的な課題を直接聞き出せる貴重な場です。
イベントという場で直接対話し関係性を築くことで、その後の商談化率を高める効果が期待できます。メールや電話だけの営業活動と比較すると、対面でのコミュニケーションは信頼関係も生まれやすく、成約までのプロセスが短縮されるでしょう。
また、ネットワーキングイベントでは既存顧客が新たな担当者を紹介してくれるケースもあります。そのため、口コミによる顧客獲得の起点としても機能します。
参加者の生の声や温度感を直接感じられることで、マーケット理解も深まるでしょう。
認知度が向上する
イベントへの参加自体が、企業の存在や活動を広く知らせる広報活動となります。プレゼンテーションやブース出展、パネルディスカッションへの登壇など、さまざまな形で自社の専門性や価値をアピールする機会が得られます。
さらに、参加者がSNSや口コミ感想を共有することにより、イベントに参加していない人々にも情報が届き、副次的な認知度向上効果も期待できます。
こうしてより多くの人々に認知されれば、企業のブランドイメージ向上や、専門性をアピールするチャンスにつながる可能性もあり、業界内でのポジショニング確立に役立ちます。継続的な参加により、その分野のキープレイヤーとして認識されるようになるでしょう。
新たなネットワークを構築できる
普段の業務では出会えないような、多様な業種・職種の参加者と直接交流することで、さまざまな形のネットワークを構築できます。同業他社の担当者だけでなく、サプライヤー(企業活動に必要な商品・サービスを供給する売り手)、パートナー候補企業、メディア関係者など、ビジネスエコシステム(企業同士が業種・業界の垣根を越えて共存共栄する仕組み)全体との接点が生まれます。
構築できるネットワークの例は下表の通りです。
| ネットワークの種類 | 具体例 | 期待できる効果 |
|---|---|---|
| 同業他社 | 競合企業、業界団体 | ベストプラクティスの共有 |
| 異業種 | IT×製造業など | イノベーションのヒント |
| サプライヤー | 商品・サービス提供企業 | 新たな調達先の発見 |
| メディア | 業界紙、Web媒体 | 広報機会の獲得 |
| 支援機関 | コンサル、金融機関 | 経営支援の獲得 |
異業種交流は、自社だけでは生まれなかった新しいアイデアやイノベーションのヒントが得られる可能性も秘めています。例えば、製造業の企業がIT企業と出会うことで、DXの新たな可能性を発見したり、伝統産業が最新テクノロジーとの融合を模索したりする機会が生じる可能性があります。
定期的な情報交換を続けることで、長期的な協力関係を築けるでしょう。
業界内のトレンド情報を収集できる
参加者同士の会話や発表、質疑応答を通じて、公にはなっていない業界の最新動向を把握できます。
例えば、水面下での動き、現場レベルでのリアルな課題感、競合他社の具体的な取り組みなど、通常は得られない価値の高い情報を入手できるでしょう。
ネットワーキングイベントは、規制動向、技術革新、市場変化など、ビジネスに直結する重要情報をいち早くキャッチできる場として機能します。特に、業界のオピニオンリーダーや先進企業の担当者から直接話を聞くことができれば、戦略立案に役立つでしょう。
また、市場調査や競合分析にもつながる情報収集の場として、自社の戦略検証や方向性の確認にも活用できます。多様な参加者から情報を収集することで、より客観的な視点で市場を理解できるでしょう。
参加目的を達成するためのイベントの選び方

「ネットワーキングイベントの種類」で挙げた4種類のイベントに対し、参加目的に応じた最適な選択方法を紹介します
| 目的 | 最適なイベント | 期待できる効果 |
|---|---|---|
| 新規顧客開拓 | ビジネスマッチング | 商談に特化した環境と仕組み |
| 認知度向上 | レセプションパーティー | 多くの人と接触できる |
| パートナー探し | ラウンドテーブル | 深い議論で相性を確認できる |
| スキル習得 | ワークショップ | 実践的な学習が可能 |
| 情報収集 | ビジネスマッチング ラウンドテーブル | 専門的な情報交換が可能 |
| 人脈拡大 | レセプションパーティー | 幅広い層との出会い |
ビジネスマッチングイベントは、新規顧客を開拓したい企業に最適です。商談に特化した環境が整備されており、効率的な営業ができます。事前マッチングシステムを活用すれば、ターゲット企業との商談確率を高められるでしょう。
レセプションパーティーは、自社の認知度を向上させたい場合に適しています。リラックスした雰囲気の中で多くの人と接触でき、企業イメージの向上や幅広い層へのアプローチが期待できます。
ラウンドテーブルディスカッションは、共通の目的を持ったパートナーを探している人に向いています。深い議論を通じて参加者の専門性や価値観を理解でき、質の高い関係構築につながります。
ワークショップは、新たな学びや経験を得たい人に最適な形式です。実践的なスキル習得と同時に、共同作業を通じた人脈形成が期待できます。
参加者同士の交流を深めるためのポイント

実際にイベントに参加したときに、質の高い交流を実現できるよう具体的な工夫やアイデアを紹介します。
これらの交流を深めるポイントを覚えておくことで、ネットワーキングイベントでも成果を得られるようになるでしょう。
アイスブレイクを実施する
イベント開始時に、初対面の相手との会話のきっかけを作るために、簡単なアクティビティを取り入れると話しやすい雰囲気になります。
例えば、参加者同士で共通の趣味や経験を見つけ出すことで、自然な会話の糸口が生まれます。また、「私はこう見えて~」から始まる自己紹介で、自分に関する意外性のある物事を発表するのも有効です。これにより、相手の興味や関心を引きつける効果が期待できます。
アイスブレイクの成功は、その後の交流の質を大きく左右します。参加者と積極的に関われるような工夫を心がけましょう。
ディスカッションやQ&Aの場を活用する
単なる歓談だけでなく、特定のテーマについて意見交換する時間や、質疑応答の時間を活用します。自身の専門知識や経験を共有し、存在感を示す絶好の機会となるでしょう。
「登壇者の話の中で○○という部分に共感した」「実際にその課題に直面していて〜」など、自身の意見や感想、状況を織り交ぜることで、立場や関心が伝わりやすくなります。特に、具体的なエピソードを交えた発言は他の参加者の記憶に残りやすく、後の交流につながる可能性があります。
発言を通じて場に存在感を示せば、イベント後に参加者から声をかけられる機会も増えるでしょう。
共通点のある人をみつけて声をかける
ネットワーキングイベントでは、ひとりで過ごしている参加者も多く、軽い一言から交流が始まる場面も少なくありません。
「私も△△業界なのですが、最近の動向はいかがですか?」「先ほどのセッション、○○の部分が印象的でしたね」など、共通点を軸にした声かけは、相手とスムーズな対話をするきっかけとなります。
事前にイベント全体のテーマや登壇者、参加企業の情報を確認しておけば、相手との関連性を見つけやすく、会話の糸口にも困りません。参加者リストが公開されている場合は、興味のある企業や人物をチェックしておくと効果的です。
共感や関心を素直に示す姿勢が、相手に安心感と好印象を与えます。押し付けがましくない自然な会話から始めることで、お互いにとって有益な関係へと発展させられるでしょう。
名札を準備する
名札には、名前や所属だけでなく「今関心があること」「話したいテーマ」「探しているもの」といった、会話のきっかけを作りやすくする情報も加えます。
また、視覚的に分かりやすい名札は、初対面の相手との距離を縮める重要なツールとなります。
例えば「DX推進中」「海外展開準備中」「パートナー募集」などのキーワードを記載することで、同じ課題や目的を持つ人からアプローチを受けやすくなります。
SNSの交換も想定し、プロフィール画面へのQRコードやリンクを事前に印刷しておくと便利です。
まとめ
ネットワーキングイベントは現代のビジネスにおいて、情報収集、人脈形成、そして新たなビジネスチャンスを掴むための非常に有効な手段です。
重要なのは、一過性のイベント活動ではなく、継続的な取り組みとして捉えることです。定期的に参加することで、業界内での認知度向上、信頼関係の構築、最新情報へのアクセスなど、複合的な効果が期待できます。
ネットワーキングイベントでは、自社のニーズに合ったイベントを選択し、入念な事前準備を行って、当日は積極的な姿勢で臨むことが大切です。そして何より、出会った人々との関係を大切に育てていく姿勢が、長期的な成果につながるでしょう。

RX Japan株式会社 マーケティング本部 瀬戸 優和
2006年にリード エグジビジョン ジャパン株式会社(現在のRX Japan)に入社。医薬品製造技術の展示会「インターフェックス」などを担当し、営業活動/マーケティング活動に従事。2009年には営業責任者、来場者集客責任者に就任。その後、医療・介護の展示会「メディカルジャパン」の新規立ち上げを担当し、2013年2月に初開催。2020年からは、社内でマーケティングを広めて、デジタルマーケティングやツールの導入や代理店との新たな連携を促進するなどし、社内でのマーケティング文化の醸成、リテラシー向上にむけて活動を行った。
2025年マーケティング本部新設と同時に同年1月よりマーケティング エグゼクティブエキスパートに就任。
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